流れ者、流れ星

昨日の夜に不思議なお兄さんに会った。僕が扇町公園でゴミドラムの練習をしていると近づいてきて話しかけてくれた人。パッと見た感じでは40歳ぐらい(この僕の予想は後の会話でほぼ当たりだったことが分かる)。旅人にも、ホームレスにも見えなくない(この予想も当たりだった笑)。 なんやかんやややこしいことがあって地元を「逃げ出した」(お兄さんは「正直に言えば半分は逃げたんだ」と自白するように言った)お兄さんは、今は全国を転々として、ネカフェや野宿をしながら路上詩人として稼いでいるらしい。ちなみに40過ぎの人を『お兄さん』と呼ぶのが正しいのか分からないけど、『おじさん』と呼ぶと距離が出来てしまいそうなので、お互いに『お兄さん』と呼び合っていた。

今はまだ大阪にいようと思っていることや、僕の人生計画のこと、ストリートでの苦労話や、お兄さんの過去から現在への話、病気のこと、寿命のこと、とにかくよく話す人だったけど、とても楽しかった。扇町公園の道のど真ん中で、汚い格好してスーツケースを引っ張る人間が1時間半も立ち話したんだから、色々話せたよ。笑 話している途中で流れ星を見た。緑とオレンジの尾を引きながらとても近くに感じるほど低飛行で急に現れて消えていったあれは本当に流れ星だったんでしょうか。UFOでも嬉しいな。

お兄さんに言わせれば僕は、まだ初心を忘れずに自分の好きなことをしっかり好きだと思えてやれているらしい。そして僕のような考え方は珍しく、立派で、成功する要因を十分に持っているみたいです。笑 「自分のことは間違えてばっかりだけど、人の評価は間違えたことないから大丈夫!」って言ってくれたので信じることにします。

最後に別れ際、お兄さんと握手をしたのだけど、10年以上も地元を離れて全国を廻りながら路上でお金を稼ぎ、ときには路上で寝ている人とは思えないほど、あったかくて、柔らかい手だった。そのとき、お兄さんが何を大事にして、何を捨て、何を得て生きてきたのか少しだけ分かったような気がした。

あのお兄さんは昨夜どこで寝たんだろう。そんな、流れ星みたいな生活をしているお兄さんに会った不思議な夜の話。

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