嬉しいことがあったんだ。

冬であったり、寒かったりすることがどうやら僕はとても苦手みたいです。

ここ何年かは、そんなつもりはないはずなのに、寒くなると自分の心がギュッと固く小さくなってしまって、色んな事が自分の手から落ちていく感じがします。

それは決して冬のせいでも、寒さのせいでもないはずなのに、そういうことが何回か繰り返されると、僕の頭は勝手にその気候と自分の心の在り方をリンク付けてしまうみたいです。

でも、そんな中にも、すごくすごく嬉しいことがあったんだ。本当に嬉しくて、一人で涙が出てしまいそうなぐらい嬉しいこと。

東日本大震災が起きた時から、僕が行っている、宮城県石巻市小渕浜。初めて行ったときは、まだ何もかもがグチャグチャで、何に悲しんだらいいのか、何に笑ったらいいのか分からなかった。だけど、そこに生きる人たちは、僕が今まで会った事がないぐらい強くて優しい人たちだった。何かをしたくて、誰かを助けたくて行った場所で、僕はたくさんの人に歓迎されて、たくさんの人に愛をもらった。だけど、その人たちには家がなかったし、仕事もなかったし、家族を亡くした人もたくさんいた。親戚の子供が来たみたいに僕を歓迎してくれた人たちがいる場所。夜遅くまでお酒を飲みながら喋った仮設住宅。仮設住宅に響く声が話しているのは、あの日のこと。あの日から今までのこと。悲しいこと、希望があること。

そんな人たちに、ようやく新しい、自分たちの「家」が建つ目処が立ったみたいです!更地にまた新しく家を建てるんだから、お金も労力も時間もいる。新しい悩みはきっとたくさん生まれる。それでも、震災から5年と8ヶ月が経ったようやく今、自分たちの家が出来る目処が立ったんです!

僕は、本当に自分のことのように嬉しかった。Facebookでそんなことを小渕浜の人が書いていたのを見つけたとき、思わず涙が出てしまうほどに嬉しかった。僕は照れ臭い性格だから、いつも会うたびに「家族みたいで嬉しい」って言うと、いっつも「みたいじゃないよ、家族だよ」ってあったかく言ってくれる人たちに家が建つ。

小渕浜で僕が食べたお刺身は、間違いなく人生で一番美味しかった。小渕浜で僕が聞いたたくさんの話や、行ったたくさんの場所は、人生で初めて答えが何も見えなかった。泣く事しか出来なかった。

小渕浜に家が建つ。それは、僕にとってもとても大きな希望になった。

いつも言ってるけど、季節も地球の自転も僕を待ってはくれない。でも、それは悪いことばかりじゃないんだ。

カンザスシティーバンド「新しい町」のT字路sカバーバージョン。

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